幕末〜明治を「2度生きた男」の謎を探る

 日本史の教科書に登場する榎本武揚は「大政奉還に不満を抱き、 軍艦8隻を率いて函館五稜郭に立てこもり官軍と戦った幕府の海軍 副総裁」といった簡単な紹介で片づけられてしまうことが多い。
 しかし彼は、単なる「反逆児の一人」ではない。
北海道に独立共和国を気づき、日本の北辺警護を固めるという計画を持つ未来志向人間だった。 彼は西郷隆盛や近藤勇のように、新しい時代に「死」という形で自らの答えを出したわけではない。
函館戦争で敗軍の将としていったんは挫折を味わいながらも、新政府からその多才さと国際感覚を買われ、 海軍卿、逓信大臣、文部大臣などを歴任した。
また、これもあまり知られていないことだが、晩年は日本全権公使としてロシアと「樺太・千島交換条約」を締結し「北方領土の父」 と呼ばれることになる。
 そんな波瀾万丈の榎本の生涯を軸に、幕末から明治の激動期を生き抜いた様々な人間像を描き出す。