北海・蝦夷の地に男のロマンが、
             女の愛が燃える


【第一部】・・・・・『江戸最期の日』――男たちの選択――  

 慶応三年。オランダで建造された幕府の最新鋭軍艦”開陽丸”が横浜港に姿を現した。
この鑑といっしょに、 オランダに派遣されていた留学生の榎本釜次郎(武揚)らも意気揚々と帰国。
海軍奉行の勝海舟は榎本をねぎらったが、国内は倒幕派の薩長が勢力を伸ばしており、 「幕府はもういけねぇ」と話す。
 帰国早々、榎本は蘭方医・佐藤泰然の孫娘で、倍も歳の離れた16歳の多津と結婚する。
相前後して、榎本は軍艦組頭兼開陽丸艦長に抜擢され、翌年には海軍副総裁に任じられた。
この間、将軍・慶喜は大政を奉還したが、官軍は豊富な武力で東征、勝は西郷に江戸城を明け渡す。

【第二部】・・・・・『幻の蝦夷共和国』――函館戦争――  

榎本は幕府脱走軍3000を率いて蝦夷の地を制圧、 函館の五稜郭を中心に共和国を樹立して総裁に就く。
新撰組の生き残り、土方歳三も榎本の政府に加わる。
 明治二年三月、榎本率いる脱走軍と蝦夷征討軍との戦いいが始まった。
土方、伊庭八郎らが奮闘したが、征討軍全軍の蝦夷上陸を機に戦況は一変し、 脱走軍は敗退を続ける。
覚悟を決めた榎本は、土方と共に五稜郭で抗戦。 征討軍へ捨て身の総攻撃をかける・・・

◎エピローグ・ウラルを越えて

 シベリアは、蝦夷の荒野に似ていた。
ロシア特命全権公使、榎本武揚の胸中を去来するものは・・・
十年前、函館戦争「開陽」沈み、「回天」動けず、土方歳三、中島三郎助父子すでに亡し。
万斛の思いで参謀黒田了介の軍門に下る。
畏敬する勝海舟との決別、若き妻多津、祖父泰然の願いが、幻のブリザードの中に消えて行った。