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◇◆◇   出   演   ◇◆◇

勝 小 吉・・・・里見浩太朗

お   信・・・・司 葉子

勝 麟太郎・・・・内海 光司

お   順・・・・山田まりや

君   江・・・・紫 とも

岩 五 郎・・・・篠塚 勝

長   太・・・・高橋元太郎

弁   次・・・・小沢 象

佐久間象山・・・・三上 直也

男谷精一郎・・・・有川 博

と   よ・・・・大塚 道子

利 平 次・・・・川辺 久造

男谷彦四郎・・・・山本 學
 

◆◇◆  構   成  ◆◇◆ 

【 第 一 幕 】

第一場
深川の料亭「平清」の広間

第二場
前場の続き・同庭

第三場
前場の続き・同広間

第四場
男谷家の奥座敷と座敷牢

第五場
A道 B男谷家門外

第六場
勝家の座敷と庭


【 第 二 幕 】

第一場
本所の道具市

第二場
勝家の座敷と庭

第三場
大川端

第四場
男谷精一郎の道場

第五場
富士山の見える町角

 

◆◆◆ストーリー◆◆◆

勝小吉は富裕な御家人・男谷家に生まれたが、幼くして勝家に養子に出された。
小吉は曲がったことが嫌いなまっすぐな気性で剣術は免許皆伝の腕前だったが、学問が嫌いで喧嘩っ早いのが玉に瑕。
町の無頼たちと付き合い、当然役職に就くことも出来ずにいた。
実家の兄・彦四郎は小吉を番入りさせるために大金を使って奔走し、その甲斐あって、代官所の役人に取り立てられる事になった。しかし、その同僚を招いての酒宴の席での苛めに耐えかねた小吉は、同僚達と喧嘩になり、もののはずみで役人の一人を死なせてしまう。
その後、勝家の存続を憂慮した彦四郎らは小吉に嫁を迎えて子供をもうけ、その孫に期待を掛けることにした。
勝家の遠縁のお信と夫婦になり、やがて長男・麟太郎が生まれる。
麟太郎は七歳のときに将軍の子・春之丞君の勉強相手に選ばれ江戸城へと上がった。しかしその栄誉もつかの間、春之丞君が急逝し、麟太郎も家に戻される。
月日は流れ・・・

◆◇◆感想&解説◆◇◆

2年連続の明治座初春の座長公演、そして今年は明治座創業130周年と再開場10周年というとてもおめでたい年である。昨年末の会見で、里見さんは「気が引き締まる思いです。役者冥利につきます。」と語っていた。
今回のお芝居は、「父子鷹」を原作とした、勝海舟とその父・小吉の物語だ。
新春の題材としては、やや重いのではないかと心配していたが、とんでもない。初春にふさわしい、とても明るい作品に仕上がった。まず新鮮なのが、里見さん演じる小吉のべらんめぇ口調。
そして、なんとも言えないお茶目なしぐさやセリフだ。思わず噴出してしまうシーンが盛沢山だ。
小吉の馬鹿踊りや小沢さんらが演じる小吉の同僚の顔へ落書きする場面など、冒頭から笑いを誘う。
小吉と司さん演じる、お信は「勝家を一緒にぶっつぶそう!」と言いながら座敷牢の中で夫婦になる。
そして生まれたのが、内海さん演じる麟太郎。後の勝海舟である。
麟太郎と小吉との道場での場面や麟太郎と芸者・君江とのやりとりをやきもきしながらも陰ながら見守り、その成長ぶりを喜ぶ小吉の姿はとても微笑ましい。
また、笑いを誘うのは、山田さん演じるお順の男言葉だ。
そしてなんと40歳も離れた佐久間象山と夫婦になると言った時の小吉らの驚きようも面白おかしく演出されている。
幕切れでは、麟太郎とお順それぞれが夫婦になって巣立ってゆくのだが、「おやじ!」と言うお順をやさしく抱き寄せる姿に、豪快な中にも里見さんらしいやさしさを感じた。
全体的に、いくつかの出来事で演出されていて飽きない作品なのだが、やや気になるのは大きな山場がないところだ。
素晴らしい息子を育て上げたという事が大業を成し遂げたという事なのだが、道場での立ち合いによって家督を譲る場面は決して悪くはないのだが、ここを山と言うべきなのか見ている側としては小さな山がいくつかあって、なんとなくハッピーエンドになった。という感じがしてしまった。
しかし、あまり悲しみを前面に出すような作品よりも、初春にはふさわしい作品で良いと思う。
里見さんの立回りはまだまだ健在!なんと今回の舞台は里見さんがすべての場に登場する。まさに出ずっぱりで目が離せない!