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川口松太郎 原作
金井俊一郎 美術
澤島 忠 脚本・演出

◇ ものがたり ◇

天保の末期、東海道は三島の外れ。
甲州無宿の清二郎は鬼薊の権次(やくざ者)たちに追われて いた流れ星おえんに出くわした。
妹のように思っているおえんを助ける清二郎。
おえんはお互い堅気になって夫婦になる話をもちかけるが、 清二郎は立ち去る。

 その後清二郎は吉田の宿場にある豊座に逃げ込む。権次 たちもその中へなだれ込むが、出てきたのは人気の市川十 郎一座の役者・沢村お藤であった。
粋な啖呵と女とは思えぬ度胸で追い払い、傷の手当 てまでする。
十蔵と娘のお藤がどこの誰だかわからない清二郎をここま
で助けたのは死んだ弟に似ていたからであった。
 清二郎が旅立とうとすると、そこへ立役が逃げたという
知らせが届く。
 お藤に「頼むから舞台に立ってくれ」と詰め寄られた清
二郎は人助けだと思い、にわか役者になり、舞台に立つ。
 三年の時がたち、三河団十郎と名乗った清二郎は、七代
目市川団十郎にも認められるほどの人気役者になっていた。
 そんな清二郎の周りには、三年前から恨み続ける鈴鹿の大
八、姉さん女房のように尽くすお藤、一途に清二郎を慕い続
けるおえん、それぞれの思いがあった・・・。
 
◆ 劇  評 ◆

まず、第一幕の登場のシーンは花道からの登場!
しかし、いまいち「登場!」という周りの御膳立てができていない地味な場面での登場なので、ちょっと寂しい気がした。
よくあるのは縁日や争い事で舞台が騒がしいところに登場してくるパターンだが、今回は一味違うという感じ・・・。
第一幕の見せ場は、三河団十郎という人気役者に扮した里見さんが「助六」の稽古をする場面。
花道の登場の場面で、お藤に「もう少しキレが欲しい」と言われ、「自分でもあまりうまくいかない」と思っている設定。
だからなのか???私が言うのもなんだが、素人目にもキレがない!
本番として完成したものを演じるシーンがあるのかと思ったら、その稽古を市川団十郎にほめられて終わってしまった。うーん・・・もっと出来るハズ!?なのに・・・残念。
そのもやもやを解消してくれたのが、第二幕に名古屋の栄座でおかめの面をつけてテンポ良く踊るシーン。会場からは、「あれ、里見さんじゃない?」という騒めきが・・・。あの踊りはもう少し見たかった。
立ち回りは迫力十分!里見さんの魅力を十分発揮していた!
ラストは無事仇討ちを終え、市川団十郎との男を感じる演出で幕をとじた。市川と三河の共演場面なんていうのも見てみたい気がしたが、二幕なのでここまでかなという気がした。
劇中劇が、今回の見所の一つだが、本当の客席の拍手も手伝って客席と一体になった感じがした。
また、場の間も飽きさせない構成で幕前の芝居をうまく利用していた。


◆ 出  演 ◆
甲州無宿の清二郎・・・里見浩太朗

沢村お藤・・・・・・・星 由里子

市川団十郎・・・・・・安井 昌二

流れ星おえん・・・・・佳那 晃子

松井源吾・・・・・・・小野ヤスシ

沢村あやめ・・・・・・北原佐和子

市川十蔵・・・・・・・下川 辰平

コマ吉・・・・・・・・芦屋 雁平

大瀬主水正・・・・・・有川  博

尾張屋新蔵・・・・・・新田 純一

三渡りの岩吉・・・・・成瀬 正孝

鈴鹿の大八・・・・・・原口  剛

横田・・・・・・・・・坂西 良太

お峰・・・・・・・・・阿井美千子
◇ 舞 台 構 成 ◇
− 第一幕 −
第一場
「東海道・三島の宿外れ」

第二場
A「東海道・吉田の宿場、豊座の舞台」
B「豊座・市川十蔵の楽屋」

第三場
「豊座の舞台」

第四場
A「松坂の街外れ」
B「伊勢松坂座内部・舞台」

− 第二幕 −

第一場
「伊勢松坂宿場口」

第二場
「松坂・鈴鹿の大八の家」

第三場
「松坂・港屋の離れ」

第四場
A「名古屋・尾張屋近く」
B「近江路・すりはり峠」
C「街道」

第五場
A「名古屋栄座」
B「同(その直後)」